VRを体験していると、炎の近くだと暖かく感じたり、高い所から見下ろすと恐怖を感じたり、雪の降るワールドに居ると涼しく感じたりしたことはありませんか?
実際に起こっている事ではないけど「そこにあるかのように錯覚してしまう」という人が一定数存在します。
さらに、そんな錯覚が大きくなって人体に影響が出ている人達が居るという話はご存じでしょうか?
今回はそんな不思議な感覚ファントムセンス(VR感覚)についてお話します。
ファントムセンス(VR感覚)って?
人間には「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」の五感があります。
その中で視覚と聴覚はVR上で直接感じ取る事が出来ます。
しかし、「触覚」「味覚」「嗅覚」の3つは直接感じ取る事が出来ません。
ですが、視覚や聴覚から間接的にこの3つを感じ取ることが可能な場合があります。
それをファントムセンス(VR感覚)と呼んでいます。
人によってVR感覚の種類や感じ方は様々です。
中には痛みを伴うケースが存在します。
VR感覚があるという話を聞いてもむやみに刺激しないようにしてください。
現実でいきなり触れられるのは嫌ですよね?
実は私自身も若干のVR感覚があります。
焚火の暖かさを感じたり、アイスの周りの冷気を感じたり。
現実には無いけど、ケモ耳に触られると”触れた”という感覚もあります。
最近は限定的ですが、匂いも感じる事があります。
信じられないですよね?
そんな人のために、理解を深めるために参考になりそうな物がVRChatにあるので紹介します。
VR適正研究所
VR適正研究所というVRChatのコミュニティがあります。
ここではVR感覚を持っている人とお話をすることが出来ます。
持っている感覚の話だったり、過去にあった出来事などVR感覚について色々な事が聞けます。
定期的にイベントが開かれているので、気になる方は参加して話を聞いてみるのもありかもしれません。
WHAT COULD BE VR SENSE?
VRChat上でVR感覚についての解説しているワールドがあります。
VR感度の仕組みについて難しい事抜きにしてとりあえず知りたいという方や、VR感覚を持ってみたいという方は訪れてみてはいかがでしょうか。
言語は日本語と英語に対応しています。
色々な現象を紹介
VR感覚に近い過去に観測された現象をいくつか紹介します。
中には聞いた事や実際に経験した事があるものもあるかもしれません。
こういった事が過去に実際あったという事を知ることで、理解が深まるかもしれません。
条件反射
有名な物をあげると「パブロフの犬」です。
犬にベルを鳴らしてから餌を与えることを繰り返すと、犬はベルを鳴らしただけで唾液を出すようになるという有名な実験から発見された現象になります。
このように、刺激を受けた感覚とは違う感覚が作用する事(今回の場合だと聴覚から味覚)を条件反射と言います。
視覚や聴覚から別の感覚に作用するという点では非常に似ていますね。
幻肢痛
ファントムペインとも呼ばれています。
事故や手術で失ったはずの手足が痛む。
人間に本来ないはずの第3の手や足が生えているように感じ痛みも伴っている。
そういった人が日本国内に数万人規模で存在します。
興味深いのは年齢が低いと幻肢痛は起こりにくく、年齢が高いと起こりやすいという点です。
なぜかというと、過去の記憶や経験に基づいて痛みが発生しているためそういう傾向にあるとされているからです。
錯覚によって人体にまで影響を及ぼすという点がVR感覚と似ていると思ったので、今回取り上げました。
蛇足ですが、現在では幻肢の痛みをVRで治療するという試みがあるそうです。
とても興味深いですね。
クロスモーダル現象
五感がそれぞれ互いに影響を及ぼしあう現象をクロスモーダル現象と言います。
実はこの現象は多くの人が体験している可能性があります。
「かき氷のシロップは全て同じ味」という話はご存知でしょうか?
実際の味覚よりも、視覚や嗅覚が作り出す味覚の方が優先されてしまうという良い例です。
この話をはじめて知った時は衝撃的でした。
共感覚
ある1つの刺激に対して、通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象が共感覚です。
文字や音に色を感じたり、言葉に味を感じたりなど全く異なる感覚が生じるケースが多数あげられています。
すこしVR感覚とはずれているような気がしますが、感覚を自動的に複数生じるケースがあるという点があったので抑えておくべきかなと思ったので今回取り上げました。
ハイパー・センシティブ・パーソン
環境感受性や感覚処理感受性が非常に高い人たちを指す言葉です。
刺激に対して深く処理を行い、過剰に反応してしまうという事(例えばVR上のナイフで刺された事によって苦しくなってしまったり)がVR感度に似ているなと思ったので取り上げました。
最後に
VR感度はバーチャルでの活動を豊かにする反面、体に悪影響を及ぼす危険性があります。
こういった事実を一人でも多くの人に知ってもらえたらいいなと私は思います。
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